ブルゾンさんで注目を集めた「キャリアウーマン」とは

2017年に「35億」というギャグでブレイクした、お笑い芸人ブルゾンちえみさん。彼女のネタのモチーフは、キャリアウーマン(Career woman)でした。

ブルゾンさんの35億ネタのコンセプトは、タイトスカートを履いた仕事のできる女性が、極端なビジネスの話をする、というものです。

 

しかしよくよく考えてみると、これは不思議な現象です。なぜ仕事ができる女性が、笑いの対象となるのでしょう。ブルゾンさんのキャリアウーマン像は、誇張はすぎるものの、多くの日本人がイメージできるものです。

 

今回はキャリアウーマンについて考えてみました。

キャリアウーマンとは

英語版のウィキペディア(Wikipedia)でCareer womanを検索すると、次のような説明が現れます。

“A career woman is known as a woman whose main priority in life is achieving success in her career and profession.”

「キャリアウーマンとは、自身のキャリアや専門分野においての成功を、人生の最優先事項にしている女性のこと」

main priorityは最優先事項という意味です。

careerもprofessionも仕事に関係することなので、この文章をブルゾンさんふうに意訳すると、

「ビジネスでの成功に向けて突き進む女、それがキャリアウーマン」

となりそうです。

キャリアウーマンの側面

「ビジネスでの成功に向けて突き進む女」だけでも、かなりの言われようですが、英字版ウィキペディアの説明は、これにもう1文加わります。

これが、さらに強烈なキャリアウーマン像なのです。

“These women can also be described as more interested in her career than in being married and having children.”

「キャリアウーマンと称される女性たちは、結婚するよりも妊娠よりもキャリアが重要であるかのように描かれている」

この文章を数式で表すと、

キャリア(Career)>結婚(be married)+妊娠(having children)

となります。これがキャリアウーマンが持つ価値観なのでしょうか。

 

ただこの文では、be described as~が重要です。これは「~のように描かれている」という意味になります。

つまりこの文章は「キャリアウーマンは、結婚するよりも子供を持つことよりもキャリアが重要であると考えている女性のことである」と断定しているわけではないのです。

 

be described as~があることによってこの説明文は「自分のことをキャリアウーマンと名乗ってしまうと、わき目も降らずに仕事ばかりしていて、婚期を逃している残念な女って思われかねませんよ」といった注意喚起のようにも読み取れます。

もしくは、キャリアウーマンという言葉は誉め言葉になっていない、と言っているようにも聞こえます。

キャリアウーマンという言葉が廃れた理由

日本語版のウィキペディアの「キャリアウーマン」の項でも、この言葉には良くないニュアンス(Nuance)が含まれている、といった説明がなされています。

「1970年代頃からよく使われるようになった言葉であるが、現在では女性がキャリアを持つことを特別視する言葉であるためあまり使われなくなった」

つまり、

「キャリア『マン』という言葉がないのは、男性がキャリアを持っているのは当然と考えているからであり、それからするとキャリアウーマンという言葉がわざわざ存在するのは『へえ、女性なのにキャリアがあるんだ。君、すごいね』という気持ちがどこかにあるからで、だからキャリアウーマンという言葉は使わないようにしましょう

ということのようです。

 

もし英語圏の女性会社員と話す機会があったら、その人のことをキャリアウーマンと呼ばないほうがよさそうです。

キャリアウーマンの「キャリア」とは

 

キャリアウーマンのキャリアには、どういう意味があるのでしょうか。

ビジネスの現場でもキャリアップという言葉は普通に使われます。

キャリアのことを最も簡単に考えると「仕事上の経験」となりそうですが、ただこれだけでは、キャリアという言葉が持つ重みに見合わないような気がします。

キャリアというからには、その仕事上の経験は「ビジネスパーソンなら誰しも獲得したいと考える特殊で価値のある経歴」であってしかるべきでしょう。

 

それでは英語の元の意味に立ち返ってみましょう。英英辞典の『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』によるとCareerは次のように定義されています。

“The series of jobs that a person has in a particular area of work, usually involving more responsibility as time passes.”

「ある人が特定の仕事において経験する一連の業務。大抵は時間とともに責任が増す」

この説明文からするとキャリアのポイントは、

a particular area of work「特定の仕事」

The series of jobs「一連の業務」

time passes「時間の経過」

responsibility「責任」

の4つとなります。

 

まずキャリアを積むには、特定の仕事に携わらなければならないということです。裏を返せば、仕事をちょくちょく変えている人は、キャリアを積んだことになりません。

 

そしてキャリアは、一連の業務でなければなりません。これも「なるほど」とうなずくことができます。自分で仕事の戦略を立てて、それを実行し、失敗を繰り返し、ようやく成功する。そのような経験があって初めてキャリアになります。

 

時間の経過も大切です。いくら特定の仕事に就いて一連の業務をこなしても、それを3カ月で辞めてしまってはキャリアと呼びづらいでしょう。

 

そしてキャリアにとって最も重要な要素は、責任でしょう。

上司に指示された仕事をしているだけでは、年数が経過してもキャリアとは言えないかもしれません。ある仕事について責任を持たされて、その仕事に一定の成果を出せたとき、ようやくその業務がキャリアにカウント(Count、数える)されます。

これからのキャリアウーマン

キャリアウーマンという言葉は、「女性は家の中に居るもの」という固定観念を打ち破るために使われるようになったのでしょう。

しかし2018年2月現在、イギリスの首相はテリーザ・メアリー・メイ(Theresa Mary May)さん、ドイツの首相はアンゲラ・ドロテア・メルケル(Angela Dorothea Merkel)さんです。アメリカ大統領ももう少しでヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)さんが就任しそうでした。もしヒラリー大統領が誕生していたら、G7(Group of Seven)の約半数が女性になっていたわけです。

このような世界情勢ではキャリア「ウーマン」はもう消え失せ、存在するのはキャリア「パーソン」だけになりますね。

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