みなさんは中国の偉大な思想家・孔子をご存知ですか?
知らないというひとも、彼の格言は必ず人生のどこかで耳にしているはず。中国のみならず、日本でも孔子の名言は古くから深くひとびとの間に浸透しているのです。
ここでは欧米でも有名な孔子の名言を英語でご紹介いたします。ぜひマスターして、ここぞ!というときにさらっと呟いてみてください。旅先でミステリアスな人格者風情を装うことができるかも!?
英語圏での孔子のイメージ
欧米に旅行すると、自分が日本人(アジア人)であることに初めて気づいたような気分になりませんか?
たとえば、海外で出会ったひとびとに、なにか日本的(アジア的)なパフォーマンスを要求されたときなど。よくカンフーのマネなんかしながら「お前できるのかい?」なんて。
いやいや、とんでもない。しかもその「アチャー!」っていう人違う国の人だから。なんて彼らに通用しません。彼らの期待通りに振る舞うことは必ずしもしなくていいのですが、でもこの際異国の彼らに、アジアの素晴らしさの片鱗を見せてあげてもいいのかもしれません。
拳法や武道の心得があるならその型のひとつも披露すれば完璧でしょうが、そんなのまったくできないそこのあなた。
孔子の名言を英語で覚えちゃいませんか?
すごくシンプルで、日本人ならどこかで聞いたことがあり、欧米人が聞けば「オリエンタル」で「エキゾチック」。あなたが思いついたようにふっと呟けば、彼らはきっと純粋に感心し、神秘の東洋からはるばるやってきたあなたを尊敬してくれるでしょう(たぶん)。
孔子とは……
孔子は紀元前500年代、春秋時代の中国に生きた「儒教」の創始者です。「儒教」といっても、キリスト教やイスラム教のように来世の救済などを唱えるようなものではなく、今生きているこの現世での生き方、在り方を教えてくれるもの。「宗教」というよりは「思想」といったほうがしっくりくるかもしれません。
孔子は国政にも携わることがあり(機会に恵まれずわずかの間ですが)、思想内容的に当時の政治哲学者といってもよいかと思います。当時の政治は、人格者が統治すれば国はよく治まるという考え方だったので、「政治哲学」=「人生哲学」でもありました。
その教えは日本でも古くからよく学ばれ、学問の基礎は孔子の言である『論語』の暗記でした。西郷隆盛も夏目漱石も幼少の頃に必ず学んでいたんですよ。
では早速、孔子の名言を英語でご紹介していきましょう!
なお、英訳は諸説ありますので、みなさんも原文をオリジナル英訳してみてはいかが?
孔子の残した名言
“A gentleman is not a tool which has limited uses.”
「君子は器(うつわ)ならず」
徳のある人間は器のようなものではない。
言わんとしていることがおわかりでしょうか?
人格者は、食器のように用途が限定されることはない。どの分野でも彼の持っている徳が重用されるに違いないのだ。
つまり、いわゆる「使える」ひと、その場限りの技術だけ持っているひとなのではなく、「君子」はどの世界においても活躍できる素質をもっているということでしょうか。
“Act before your words, then you can speak about that.”
「先行其言、而後從之」
先(ま)ず行う、其の言(ことば)は而(しか)る後に之(これ)に従(したが)う
まず行動で示せ、言いたいことはそれからにしろ。
“People who use compliments and a put-on smile have little virtue.”
「巧言令色、鮮(すく)なし仁」
巧みなおせじや作り笑いをする人間には「仁」が少ない。
「仁」とは人間がもっとも大事にしなければならない感性のことで、これを多く持つひとが「君子」です。
“Do not care that the others don’t understand you. Care that you don’t understand the others.”
「人の己を知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う」
他のひとが自分をわかってくれないことを嘆くのではなく、自分が他人を理解できていないことを悩むのだ。
現代のわたしたちもスルーできない日々の悩みについて、もう何千年も前からはっきりとした答えが出されているんですね。
“If you act for your own profits, you will be blamed by people.”
「利に放(よ)りて行えば、怨(うら)み多し。」
自分の利益のみで動けば、ひとから沢山の恨みを買うことになるだろう。
他者を思いやれない行動は、「仁」のない行動です。これでは「君子」=「人格者」たりえません。
ここにあげたものはほんのわずか。びしっと言えるとちょっとかっこいいかも!?
この機会にぜひ『論語』を紐解いてみては?